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腎移植体験記【7】入院7日目:手術前日のドタバタ

時間入院

ハロー!腎移植レシピエントの肉球アッパー(@hellokidneylife)です。

手術を明日に控えたこの日、ドナーである妻が同じ病棟に入院しました。

ドナーは腎臓を摘出するだけなので、手術前の治療は特にありません。

レシピエントは手術前1週間、ドナーは前日に入院します。

当たり前ですが男女は別々の病室です

この日の予定は、血漿交換透析と血液透析、執刀医による手術前の最終説明でした。

最終説明:インフォームドコンセントと呼ばれるものです。ドナー、レシピエント、できれば第三者(親族など)が出席して、具体的にどのような手術をするのか詳しい説明を受けることです。

時間はどのくらいかかるのか、傷はどこにどのくらい残るのかなど、わからないことは質問して、全て納得し合意した上で手術に臨みます

しかし、執刀医は外来診察が忙しいく何時になるかわからないとのこと、とりあえず午後の空き時間に調整してもらえることになりました。

一方で私は、午前と午後に4時間ずつの透析を受けなければならないので時間が合うか心配でした

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歯車が狂いはじめる

午前の血漿交換透析が遅めに呼ばれたので、終わったのは15時ごろ。

病棟に戻ってくると、看護師さんが少し慌てている様子。

頭部X線検査を今すぐ受けに行ってください

え?予定にありましたっけ?

〇〇先生(執刀医)が指示するのを忘れていて、今日気づいたってさっき連絡があったんです

 

・・・・

腎不全患者は脳血栓を併発しているケースがあり、手術時に脳梗塞を発症してしまわないように前もって検査しておく必要があります。

しかも、造影剤を体に入れての撮影になるので、留置針と点滴ラインをナースステーションで作っていくことに。

点滴ライン:手首あたりの静脈に留置針を刺し、15センチほどのチューブを繋げたものをシート状のテープで固定する処置です。

留置針

持続的に点滴静注を行う場合には、留置針(金属製の注射針にテフロンないしポリウレタン製の柔らかい外筒を付けたもので、血管に刺入後に金属の針を抜くと外筒のみが留置される)を用い、これを留置した後で容器+点滴ラインを接続する。点滴静注終了後に留置針を残す場合は、閉塞を防ぐためにヘパリン(抗凝固薬)希釈液で点滴ルートを満たすヘパリンロックが行われている。また、ヘパリンの代わりに生理食塩液で満たす生食ロックも汎用されている。

Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/点滴静脈注射)より

予定外の頭部X線検査

左手の点滴ラインに痛みを感じつつ、総合外来センター地下1階にあるMRI検査室へ。

受付に名前を告げ、検査室の前で座っていると連絡が行っていたため、すぐに中へ通されました。

造影剤を投与するとき、体がカーっと熱くなるけどすぐ収まるので心配しないでくださいね

すでに点滴ラインを作ってきましたよ

それは看護師が作ったものだと思うけど、造影剤って圧力をかけて一気に入れるからその細い点滴用のラインは使えないんです

・・・・・・・・・

右手に新しい点滴ライン作りますから検査台に横になってください

今度は右手に針を刺され(太めだから結構痛い)造影剤が体に入ってきたと同時にドーナツ状の機械の中へ。

体が熱くなり一瞬で体温が2〜3度上がったような感覚が体中を走りました。

動悸も早くなったような気がして不安を覚えましたが、1分ほどで治りました。

ヨード造影剤:X線を使用する画像検査のときに、血管に注射し画像を見やすくして正確に診断するためのもの。

予見できない下記の副作用の可能性があるため検査前に同意書に署名する必要があります。

  • ごく稀に吐き気、嘔吐、じんま疹、かゆみ等の軽度の合併症
  • 2500人〜4000人に一人の率で血圧低下によるショックや粘膜の腫れによる呼吸困難等の重い合併症
  • 10万人から40万人に一人程度の割合で死亡例

検査を終え、右手の針はその場で抜いてもらえましたが左手の点滴ラインは残ったまま。

休むことなく最終説明

ナースステーションに戻ってきて、看護師さんに点滴ラインをした意味が無かったことを伝えました。

あら、ごめんなさいね。すぐ取りますね

・・・・・・・

さっき、最終説明のお呼びがかかったので総合外来センターの〇〇先生の診察室の前に行ってください。奥様はもう向かいましたので急いで!

え!?

病室に戻ることなく、そのまま早足で総合外来センターへ。

その道すがら、まだ昼食を摂っていないことに気付き、空腹感が襲ってきます。

総合外来センター3階の腎臓病センターに到着し、妻と合流して数分待っていると、名前を呼ばれ診察室に入りました。

手術の最終説明といっても、専門用語が飛び交う難しいものではなく図解入りのプリントを見ながらのとてもわかりやすいものでした

  • どこにどのようにメスを入れるか
  • ドナーの腎臓をどのように摘出し、どのようにレシピエントに移植するか
  • 全身麻酔のあいだに行われることの確認 など

多発性嚢胞腎でしたので、まず肥大した自分の右腎を摘出してからドナーの腎臓を移植することになりました

わからないこと不安なことを色々と質問し、丁寧に説明してもらい、ほとんど解消されたので本当に良かったです。

最後にドナー、レシピエントそれぞれに「麻酔に関する同意書」「手術の同意書」に署名して終了しました。

すぐさま午後の血液透析へ

病棟に戻るとすでに17時ごろ。

またもやナースステーションで

連絡が来ているので透析室に行ってくださいね

昼食がまだだし、今から透析だと18時の夕食も食べられないですよね・・・

お昼のご飯が取ってあるのでおにぎりにしますね。透析しながら食べてください

・・・・

夕食も戻ったら温めますから

なんか忙しすぎるなぁ・・・

透析中のベッドで、おにぎりと持参したお菓子を食べながら4時間過ごせばもう22時。


透析室と中央病棟をつなぐ連絡通路(筆者撮影)

クタクタになって足取りも重く消灯後の病棟へ。

ナースステーションに戻ってきたことを告げました。

大変な1日でしたね。夕食を温めましょうか?

もう食べる気力がないからいいです

あら、そうですか

それよりシャワーの予約を入れていたけど、もう入れませんよね?明日手術だからどうしても入りたかったのに、ちょっとこれは予定を詰め込みすぎですよ!

わかりました、今からシャワー浴びてもいいですよ

やった!

通常のシャワー時間は9:00〜17:00です。
手術後はドレーン(傷内部に溜まる血液やリンパ液を体外へだす管)や膀胱留置カテーテル(尿量を正確に測るための尿道に入れる管)があるため、抜けるまでの数日間シャワーを浴びることはできません。

1日の終わり

シャワーを浴びたら少し機嫌も回復し、ベッドに戻ると23時近く。

すでに就寝中の同部屋の患者さんを起こさないよう、静かに明日の準備をするのですが、これがなかなか気を使います。

引き出しの開け閉め、ビニール袋のカサカサ音など、消灯後の病室ではこんなにも大きい音なのかと思うほどです。

ひと通り済ませてベッドに横になりベッドサイドの灯りを消すと、あっという間に眠りに落ちました。

さいごに

昨日まで手術前日は

緊張と不安でいっぱいかな?

などと呑気に構えていましたが、嵐のような1日のおかげでそんなことも忘れていました。

そういう意味では、これはこれで良かったのかもしれません

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