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ドナーになるまで【1】腎臓病患者の家族として

2人の影 ドナー体験記

ハロー!腎移植ドナーのふぐモフ(@fugumofu_HKL)です。

腎移植手術は、2017年9月下旬に行いました。

わたしがドナーになるまで、腎臓病患者の家族として試行錯誤していた時のことからお話しします。

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とうとう透析かと思ったら

旦那さんは高血圧、多発性嚢胞腎で数年前から通院していました。

通院していたのは、近所にある小さな開業医です。

医師から

症状が進行すれば透析になります

と告げられていました。

そこの医師は、人工透析推進派で、今の透析技術は進歩しており体の負担も少ないという話を度々していたそうです。

旦那さんは

どうせいつかは透析なんだ・・・

と、散々愚痴っていたけど、納得しているようだったので、

近い将来人工透析になるのだなあ

と思っていました。

ある日医師から

そろそろ人工透析だから準備してください

と言われました。

準備というのは、シャントを作れということです。

とうとう透析かあ

と思いました。

ところが旦那さんは、透析回避のために違う病院を見つけてきたのです。

あれれ、予想外、まさかの展開でした。

と、いうのも、わたしは実は夫が通院していた開業医が気に入らなかったし、別の専門医にも相談した方がいいよと何度か言ったのです。

だけど、旦那さんはそこの医師を信頼していて、わたしの話は聞く耳を持たなかったのです。

ほら見ろとか、だから言ったじゃん、とか言いたくはないけど、病院選びは本人の意思の問題です。

以前も同じようなことがあって、その時もわたしの話は聞き入れられなかったから

まあ好きな病院に行ったらいいよ

と思いました。

そして旦那さんは転院したのです。

転院して、わたしもまさかの通院

旦那さんは転院し、何度か通院してから

治療の一環で食事療法があるから、調理する人も一緒に通院しなければいけないよ

と言い出しました。

え〜

正直めんどうでした。

一緒に病院に行って何するのかよくわからないし、行くためには会社を遅刻か早退か抜け出すかしないといけないからです。

散々ごねてみたけど、結構な強い調子で

調理をする人も一緒に行かないと!

と言われたので、渋々行くことにしました。

幸い、わたしの職場の上司は理解があったので、柔軟な対応をしてもらうことができました。

致し方なく通院してみたものの、今度の医師はものすごく信頼できる人でした。

まず、今の腎臓の機能はどんな状態なのか、わかりやすく説明してくれました。

現時点では、透析回避し、腎臓の機能を維持することが可能であること、そして、そのためには食事療法が不可欠である事がよくわかりました。

あと、その病院には管理栄養士さんがいて、謎の食事療法について相談することができるのです。

食事療法について、管理栄養士さんに相談する流れは、指定された2日分の、朝、昼、夜3食の献立を専用の用紙に記入し、来院時にその紙を見ながら食事の問題点はないか、改善点はあるか、話し合います。

その際には、旦那さんの腎臓の検査結果と突き合わせします。

例えば

この日は塩分が高いから血圧も高めだね

とか

この日はカロリーが足りてないから、ゼリーを食べて補充したらよかったね、ウィダーなんかはオススメよ

という具合です。

管理栄養士さんから、腎臓病専用の食品のカタログをもらい、そんな食品がある事を知りました。


腎臓病食カタログ(筆者所有)

また、日常的に料理するわたしと、健康維持のために栄養を管理する人、立場は違えど、料理に精通している人との会話はとても楽しいものでした。

そして、この通院は、わたしの腎臓病への理解を深めることになり、腎臓移植を決意するきっかけになったのです。

ほらね、病院変えたらいいことがあるじゃん

とは言いませんでしたけど。

食事療法はじめました

わたしの家族は、母は調理士、妹も料理好き。

食事療法を始めたことはすぐに知らせました。

というのも、母はおかずを多めに作って分けてくれたり、妹とはおいしいものを見つけると分けあったりしてきたので、もうそういうことはできなくなったからです。

それでも2人はできる限り食を共有しようと、食べていいものと悪いものは何か、気にかけて聞いてくれました。

何と言ったらいいのか、腎臓病食の説明って難しいのでちょっと困りました。

徹底してダメなのは、塩分ですが、タンパクって何にでも入ってます。

タンパクを少なめ、油分を多めという、いわゆる減量のためのダイエットとは真逆な食生活です。

日々の料理では、すべての材料を計量しながら作るので、時間がかかります。

だから、肉や魚は土日に買って、50gずつラップして冷凍しておきます。

野菜もまとめて切っておきます。

調味料などの計量をちゃっちゃとできるように、計量スプーンやデジタルスケールを買い足しました。

腎臓病食のレトルトやインスタント食品も利用しながらではありましたが、まあ大変でした。

通院は3週間おきでしたが、その時に持っていく3食の記録がまた、食材をそれぞれ何グラム使ったかまで書くので、メモしておいても書写すのがめんどうでした。

あんまりイライラした時には

自分で書いてよ

と、旦那さんに押し付けました。

旦那さんは量が少なくて不満足だし、わたしは一生懸命作っても不満足そうにされるし、不のスパイラルです。

そんな日々が半年続きました。

食事療法をやっている時につくづく思ったのですが、テレビ番組は、ニュースでもバラエティでも食べ物の情報が本当に多いです。食べられない身にはいらない情報だし、本当に嫌になりますね。

なんだかんだ頑張った

腎臓病食は高価です。

例えば、お米は、普通のお米だと3キロ1,400円前後です。

みしまのタンパク調整米1/50は、3キロ4,980円です。

タンパク調整米は、普通の米を加工してタンパクを減らしています。

こうして、その他の低タンパク食品も、手間隙かかっている分、お値段がお高くなります。

ネットで色々と探せば、もっと安い商品が見つかるかもしれません

我が家は富豪ではないので、主食のお米や麺を低タンパク食品にして、おかずは極力スーパーの肉や魚、野菜を使うことにしました。

こうすることで、タンパクを抑えて少しでも肉や魚を増やせるようになるのです。

わたしにとっては、タンパクと塩分をオーバーしないように、カロリーはしっかり取れるようにと考えて食事を作るのは戦いと挑戦の日々です。

仕事で疲れている時はむしゃくしゃするけど、元気な時にはゲーム感覚で楽しむようにしました。

普通のゲームはスコアが出るだけだけど、このゲームは下手すると人の健康に関わるので、まあ責任重大なんですけど。

旦那さんは、おかずの量の少なさや味が薄いことについて、そりゃあいろいろと言いたいこともあっただろうけど、ぐっと我慢していました。

わたしは限られた中で、少しでもおいしくて量を増やせるように挑戦を続けました。

その日々が報われるのは、3週間に一度の通院の時のこと。

毎回の検査で、腎臓の機能を低下させずに維持しているという結果を出し続けることができたのです。

医師や管理栄養士さんから、毎回のように、

よくやってる、頑張ってる!

と言ってもらえました。

わかってくれる人がいるのはとても嬉しい、力になりました。

やったね

さいごに

腎臓病の食事療法は、いい病院が見つかり、医師と管理栄養士さんの支えと、わたしの職場の上司の理解と、旦那さんの我慢とわたしの挑戦、いろいろなものでできていました。

そうして食事療法の日々を乗り越えることができたのです。

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