列島を縦断すると言われている台風が接近している。
幸い予想進路の西寄りを通るようで、余丁町クリニックの通院日への直撃は免れた。とは言え、空を見ると積乱雲の塊が速いスピードで移動しているのが不気味に感じる。
通院には、クルマで行くことにしている。採血後に結果が出るまでの間、数十分待ってから診察となるため、一旦クリニックを外出しなくてはならないルールがあるからだ。クルマの中で待機しつつ、遅い朝食を摂り持参した免疫抑制剤を飲むのがいつものパターンだ。
行きの道中、突然雨がザーッと降ってきたと思ったら、何事もなかったかのように雲間から真夏の青空が顔を出す。しかし、すぐさま黒い雲が広がり霧雨が降ってきたりを不規則に繰り返す、そんな不思議な天気となった。
それをフロントガラス越しに、ワイパーの強弱を頻繁に切り替えながら、どこか面白いような感覚で見ていた。
病院に着いて採血と採尿を行い、クルマに戻りお弁当を食べる。カーラジオから流れてくるのは、ロバート・ハリスさんのよく通る声。軽妙なおしゃべりとセンスの良い音楽が好きで、最近のお気に入りの番組だ。
しばらく聴いていたら、スマホに着信。診察30分前を告げる自動音声のアナウンスだ。
再びクリニックに戻る。歩道を歩くと、顔をしかめたくなる気になってくる。先ほどまでの雨のせいで不快な湿気が泥のように横たわっているように感じられたからだ。幸い気温はやや下がっていたもののぬるま湯に浸かっている気がする。
なんとも嫌な汗の感覚は、空調の効いたクリニックの椅子に座っているうちにいつしか消え去っていた。
そして診察の結果もいつもどおり問題なく、一安心。帰宅の途に着いた。
首都高を降り、一般道を走っていく。家に近づくにつれ雨足が強まり、一時は前が見えなくなるほどの土砂降りとなった。
台風はゆっくりだが確実に近づいてきている。念のため備えを確認しておくとするか。