ハロー!腎移植レシピエントの肉球アッパー(@hellokidneylife)です。
退院してから1ヶ月が過ぎ、傷の痛みで普段の生活に制約がかかることはほとんどなくなりました。
もはや手術は過去のものとなり、慢性腎不全患者から健康体になったことに心から感謝し、その幸せを感じながらの日々を送っていた矢先、予想だにしていない事件が起こったのです。
唐突な1本の電話
2017年11月のある週末、ちょうど自宅で遅めのランチを食べていました。
テレビではバラエティー番組のタレントが笑いを誘っています。
不意に鳴り響くスマホの着信音、画面に前日通院したばかりの「余丁町クリニック」の文字が。
忘れ物か何かの連絡かな?
何気なく電話に出ました。
〇〇さん今ご自宅ですか?
はいそうですが
サイトメガロウィルスの数値が前々回、前回、今回と高くなってるんで、今日入院してください
えぇ!?入院ですか?しかも今日?
こちらの方で女子医大病院の方に伝えておきますので、直接中央病棟の入院窓口に行ってもらえますか?
ちょっと待ってください!ホントに今日これからですか?
これは重症化すると危険なものなんです。先生からそう指示が出てますので、今すぐ準備してもらっていいですか?
・・・・・は、はい、わかりました
青天の霹靂
残っている料理の味が、わからなくなってしまうほど動転し、急いで準備をして家を出ました。
心配する妻と2人で地下鉄に揺られているあいだ、頭の中は混乱していました。
なんとかウィルスってなんだ?自覚症状は何もない、発熱もないのになぜ?一体どんな治療をされるのか、まさか再手術?いやそれはないだろう、拒絶反応もないのに。
急すぎる展開に疑問がグルグルと渦を巻き、心臓の鼓動は走行音に勝るほど。
都営地下鉄大江戸線の若松河田駅に到着し階段をトボトボ登って地上に出ると、冷たい風が体を通り抜けて行きます。
それは、薄着で出て来てしまったことと、額ににじむ脂汗を否応なく感じさせるものでした。
いざ入院
中央病棟1階の入院窓口に事情を説明して、廊下の長椅子で待っていると、時間外にも関わらず10人ほどの人影に気づきました。
診療科は違えど同じ境遇なのでしょう、一様に不安な表情を浮かべています。
やがて、私たちのもとに医師らしき人がやって来て、説明をしてくれました。
- サイトメガロウィルスに感染していること
- 治療は点滴投与になること
- 最低でも1週間、長ければ1ヶ月ほど入院が必要ということ
- 発症し悪化すれば様々なリスクがあり最悪、死に至る可能性があること
- 腎移植を受けた人の中で一定確率で感染すること など。
初めて聞くウィルス名、想像より長い入院期間、死という言葉。
胸の奥には、縮みあがるような何ともいわれぬ茫漠とした不安が横たわっていました。
さいごに
前回も入院した9階の泌尿器科病棟まで、エレベーターを使います。
ドアが開き、見覚えのあるナースステーションを見やると、目が合ったのは手術後はじめての歩行を介助してくれたあの看護師さん。
〇〇さんじゃないですか〜
あ、どうも。また来ちゃいました
しっかり治しましょうね
・・・ハイ
約1ヶ月前、退院の日
もう2度とここに来ることはないだろうな
などと思った自分が愚かしく思えたのでした。