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腎移植その後【4】サイトメガロウィルスとは?即入院の訳

ウィルス入院

ハロー!腎移植レシピエントの肉球アッパー(@hellokidneylife)です。

サイトメガロウィルス(以下CMV)は、ヘルペスウィルスの一種で成人の60〜90%が幼児期から若年期に感染し、体内に抗体を保持しています。

ではなぜ聞き馴染みがないのでしょうか。

それは感染しても症状が現れないからです。

稀に発熱等を伴う場合がありますが、自然治癒しますので「風邪かな?」程度で終わります。

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主な感染経路

CMVは非常に感染しやすく、有効なワクチンは開発されていません。

  1. 体液、分泌物との接触(非性的接触、性的接触)による感染
  2. 妊婦が感染することによる新生児の体内感染
  3. 輸血や臓器移植による感染
2. のケースでは抗体を持たない妊婦の1〜2%が妊娠中に初感染し、約40%が胎児感染します。そのうちの約20%が発症し流産、死産、新生児の死亡につながる場合があります。また生存しても難聴などの障害が残ることがあります。

臓器移植による感染

腎臓などの臓器移植においては、拒絶反応を抑えるため免疫抑制剤を服用します。

免疫機能が低下すると抗体の働きも抑制されますので、休眠状態にあったCMVが再活性化する場合があります。

また、レシピエントがもともと抗体を保持していない場合、移植された臓器内の白血球を介して感染します。

悪性腫瘍治療やAIDS感染よる免疫力低下によっても再活性化する場合があります。

症状

前述のとおり、ほとんどの感染者で症状は出ません。

臓器移植後に免疫機能が低下している場合は、2〜4週間後に活性化し、のちに網膜炎、肺炎、肝炎、髄膜炎、腸炎を発症し失明や腫瘍を引き起こし、重篤化すると死亡につながります。

治療

臓器移植患者、悪性腫瘍患者、AIDS患者のCMV感染に対する治療は、抗ウィルス薬として主にガンシクロビル(デノシン点滴静注用500mg)が投与されます。

ある程度の鎮静化がなされた後は、バリキサ錠450mgを経口投与し増殖を抑制しつつ、体内に抗体が出来るまで経過を観察します。

さいごに

腎移植レシピエントは初期の継続的な血液検査を行うなかで、血中のCMVの数の推移を見守り活性化の兆しが見られる場合には速やかに治療がなされます。

これにより発症する前にウィルスの増殖を抑えることが可能になり、現在ではこの手法が主流となっています。

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