ハロー!腎移植レシピエントの肉球アッパー(@hellokidneylife)です。
2017年9月の中旬のまだ暑さの残る日、東京女子医科大学病院・中央病棟に入院しました。

レシピエントは手術前1週間、ドナーは前日に入院します
手術は1週間後ですが、それまで何かしらの処置や治療といった準備が必要になるからです。
初めての入院に、不安な気持ちを抱きつつ午前10時、病院に到着。
入院窓口で30分ほど待たされて、泌尿器科病棟である9階のナースステーションへ。
看護師さんに患者識別バンドを右手首につけられたのち、病室へ案内され自分のベッドとロッカーを教えてもらいました。

差額ベッド代がかからない7人部屋ですが、カーテンで仕切られているのでプライバシーは保たれています
とりあえずベッドに荷物を置いて、そのまま病棟の案内へ。
トイレやお風呂、デイルームといった場所を回り、食事や入浴など基本的なルールの説明を受けてベッド待機になります。
持参した部屋着(GUのパジャマ)に着替えてみましたが、暑くてすぐTシャツ1枚になりました。
空調が効いているため半袖でちょうど良いのです。
身の回りのものをバッグから取り出して、備え付けのテレビ代にある引き出しに移していると、再び看護師さんがやって来て数枚の用紙を渡されました。

なんですかこれ?

入院や、手術に関する同意書や誓約書ですので、目を通してサインしておいてくださいね
初日からショックな展開
荷物の整理が終った頃、担当の医師団4~5人がベッドまで来てくれました。

腎移植手術はチーム体制で行われます
ひとしきり挨拶を済ませて、手術までに必要な検査や治療についての説明を受けました。
その内容が私にとってショッキングな内容だったのです。

腎移植手術までの間、毎朝の採血検査以外に、体の免疫機能を下げるための点滴と血液を浄化する人工透析をする必要があるんです

やはり透析が必要なのか・・・

夕方さっそく首から管を入れる手術をしますね

え!?手術ですか?

部分麻酔をしますし短時間で終わるものですから心配ないですよ

わ、わかりました・・・
詳しい手術内容の説明書によると、管というのは「透析用短期留置カテーテル」というものだとわかりました。
これを首から心臓近くまで入れておいて、体外に出ている管の先端にある接合部に、用途に応じた管を繋げることにより、スムーズに採血や点滴を行えるようになるのです。
いざ手術
時間は無常にも過ぎ、その時がやってきました。
1階までエレベーターで降りて無機質な処置室に入ると、Tシャツを脱ぎ紙の服に着替えるよう言われ、すぐに手術台に寝かされました。
上を見るとX線カメラとライトが見え、その間、健康そうな日焼けした肌の若い男性医師と眼鏡が似合う女性医師が、淡々と楽しそうに雑談混じりで用意をしています。
手術については「管自体が見えない様にする」「局所麻酔をするので痛みはほとんど無い」との説明をされましたが、心臓が縮み上がる様な何とも言えない不安と恐怖に、私の顔は引きつっていたことでしょう。
子供の頃テレビで見たことのある、宇宙人に誘拐されて奇妙な手術をされた人の恐ろしい再現ビデオの場面を思い出していました。

あ〜、あの時ってこんな感じなんだなぁ、昨日の今頃は家でネコと遊んでたのにギャップがすごい!
なんて思っていると、左の方に顔を向けるように言われました。
首の右側の太い血管にカテーテルを挿入するからです。
仕様がなく言われた通りにすると、左には上のX線カメラが撮影してるリアルタイムな画像を投影するモニタがあり、今まさに自分の首の骨と輪郭を映し出していました。
その画面を見ながらエコー検査の機器を首にあてて、血管の位置を確認しつつカテーテルを挿入するのです。
顔の上に覆いが掛けられて何も見えなくなりました。
体はすでにこわばっています。
それまでの間も先生方は不安を感じさせないように話しかけてくれていましたが、いざ始まるという時になりドキドキは最高潮に。

何ヶ所かチクッとしま〜す
と女性医師が麻酔を注射しました。
これは、歯医者で抜歯するときの注射のようなものだそうです。少しチクチクしました。

これ痛いですか〜?
麻酔が効いているのでしょう、何の感覚もありません。

いいえ

これからしばらく首を押される感じがしますからね〜
と言うと同時に首をグイグイ押し始めました。
最初に細い管を入れてだんだん太いのを入れるそうで、やがて首が折れるんじゃないかと思うほど押される感覚があったのですが、痛みは全くありませんでした。

うん、イイね、〇〇用意して

△△△はオッケーですか?
とかなにやら専門的な会話が聞こえてくるのを聞きながら数分間、首押しが続くのを耐えていました。

もうすぐ終わりますからね〜
少し安堵していると首に細かく鋭い痛みが走りました。
何も見えない不安も相まって

あの、チクチクします
と訴えたところ、

いま、縫ってま〜す
と答えが帰って来ました。と同時に

わたし、救急から離れてしばらく立つから腕が落ちて来て〜

いや上手上手〜、良い感じだよ〜
と首のすぐそばから話し声が聞こえて

呑気だなぁ
と呆れました。しかしよく考えてみると

この人たちは毎日のようにこの様な手術を様々な患者に施しているのだ、私にとって人生初のこの体験が日常なんだなぁ
と思い、先ほどから感じているある種の軽いノリも納得させられたのでした。

はい終わりましたよ〜、顔の覆いを取りますね〜
ホッとした次の瞬間、目の前のモニタに映る有様に背筋が凍りました。

うぉ
X線カメラが映し出した自分の胸から上の画像に、首から心臓近くまで3本の細い管が入っているのがハッキリと確認できたからです。
まぁ、そういう手術をしますとは聞いていましたが、想像するのと見るのとでは実感が段違いです。
しかし驚いている暇もなく首を正面に向かされました。

問題なく終わりましたから安心してくださいね。痛みはありますか?

いいえ、大丈夫そうです
紙製の上着をハサミで切られ、上体を起こすと

少し拭きますね〜
と首の後ろから背中のあたりをガーゼのようなものでゴシゴシ吹かれました。
私はそんなことよりも首の違和感が気になっていました。
傷口を保護するために貼られているビニール製の防水シールのためか、首の右側が突っ張る感じがするのです。

ここら辺が突っ張るんですけど

2、3日で慣れますよ〜
そういうものなのかと納得し、脱いだTシャツを着て処置室を後にしました。
右首を動かさないように少し右肩を上げ、首を回さないように体ごとぎこちなく方向転換をしながら病室に戻りました。
さいごに
鏡を見ると、3本の透明なビニール管(先端にプラスチックの接続用器具が付いている)が、ガーゼで巻かれて首から10センチぐらいプランプランしています。

ウハァ〜
翌日気づいたのですが、廊下を行き交うこれから手術を受けるらしき患者さんは、皆さん同じ「管プランプラン」状態でした。